2015年2月16日月曜日

引き継いだ旧鐘紡の「カネボウストッキング」が快進撃!

花王グループは、1~12月の決算である。わが社も2014年度は昨年12月で終了したが、お陰様で、計画以上の売上と利益を達成させて頂いた。社長就任以来4年間、従業員の総力で増収増益を続けている。本当にありがたいことである。お取引先様とお客様のご愛顧の賜物と、深く感謝している。今後も「良きものづくり」で更にご恩返ししたいと思っている。

そうしたわが社の実績を支える商品の一つに、女性の必需品であるパンティストッキング(パンスト)がある。コスミリオンがパンスト?と思われるかもしれないが、カネボウ化粧品の販売会社を通してカネボウ取引先様に美装品カテゴリー「カネボウエクセレンス」というブランド名で展開頂いているパンストである。これが信じられないほど売れていて、今やお化けブランドになってきた。

実は、この「エクセレンス」は旧鐘紡時代の中核であった繊維事業のひとつ「カネボウストッキング」。その後傘下に収めた豊田通商と当社とで共同開発、生産している商品である。



わが社が「エクセレンス」開発・生産を引き受けて4年。販売数は4倍近くまで拡大しあた。<DCYストッキング><タイツ80D><タイツ110D><ショートストッキング>の4カテゴリーで年々、愛用者が増え続け業界でも驚異的数字だと関係者から伺った。

カネボウ販売会社とお取引先様の販売力に脱帽である。そして、その高い販売力は、圧倒的に優れた品質だから叶うこと。手軽な価格もお客様の高いリピート率となって表れ、ドラッグ流通では専業メーカーを抑えトップシェアにまで育ってきた。



想定外の快進撃に、一昨年「何故こんなに売れるのか?」を解明するため、マーケティング調査をした。この種の調査は化粧品ではお手の物だが、繊維製品となると知見が無いので、調査法の一つである覆面での「消費者座談会」のフリートークはドキドキした。その結果が、品質、カネボウ名、パッケージ、価格のすべてが支持されている、という理想的なお応えを頂戴した。品質は「丈夫で綺麗」と絶賛された。

もともと繊維の鐘紡がオリジナル原糸を有しており、加えて織(おり)の技術も群を抜いているうえ、シンプルで真四角のパッケージと、化粧品のイメージを融合した自信作である。「良きものづくり」とは、そこに市場があり、競合に勝る商品力、タイミングと販売力が一致すると必ず売れる、という証明でもある。只、全てが揃うのは簡単なことではない。

わが社の主幹事業は化粧品のOEMであるが、お取引先様へのご要望や市場を見据えて、ストッキング以外の繊維品、化粧用具、雑貨など多くのメニューを増やしてきた。
その中には、当時総合メーカーの鐘紡が築いた知見や、技術の物も多く含まれている。

家庭品・化粧品の品質管理は熟知する花王・カネボウグループだが、繊維の品質検査、品質管理などの知見はなく、わが社の合言葉「可能性から発想する」の精神で「美装品」に取り組んできた。難産ゆえに、「エクセレンス」の成功は、嬉しくて仕方ない。

そして、この2月、新たにエクセレンス5つ目のカテゴリー、大型の新商品「カネボウエクセレンス<BEAUTY>」を投入した。化粧品メーカーらしく「履けるファンデーション・美脚メイクアップ」としたコスメティック発想で作りこんだパンティストッキングである。



レッグウエア業界(パンスト・タイツ類)の最大の市場である、オールサポート(ゾッキタイプ)市場に向けて、満を持しての発売である。

ゾッキタイプは伝線しやすいという課題と新たな付加価値を試行錯誤しながら時間をかけ、カネボウと豊田通商グループ(元カネボウストッキング事業)がタッグを組んで、新たに進化させたカネボウだけのオリジナル原糸と技術を開発。伝線しにくい「ノンラン設計」に加え「糸と編みのオリジナル設計」により、美しさと丈夫さを実現出来たと自負している。

私は繊維出身ではないが、いつしか「交編編み」とか、「デニール」の違いや「ハイゲージ設計」などと、口にするようになった。何とも感慨深い。少々おこがましいが、鐘紡の発明や技術をしっかりと受け継ぎ、カネボウコスミリオンで形を変えて、守り、大きく成長させることに深い感謝と喜びを感じる。と同時に、私は鐘紡人であることを実感する。

「エクセレンス<BEAUTY>」を市場に送り出すことは、大切なわが娘を世に送り出す思いだ。お取引先様と共に「製品」を生み、お取引先様に渡って「商品」となる。その商品をお客様が購入され、使用されて満足すると「愛用品」に変わる。そして、そのお客様がリピートしてくださった時に「私の逸品」に昇格すると思っている。

多くの女性たちから「私の逸品」とご評価を賜わることができれば、無上の喜びである。

田辺 志保