2015年3月11日水曜日

「田辺志保のひとりがたり」を振り返る

201212月、カネボウコスミリオン(株)のホームページ刷新時に開設した社長ブログ「田辺志保のひとりがたり」。今回が最終回となりました。
4月の還暦を境に、カネボウを引退することになったからである。皆様には突然のご報告と映ったかもしれないが、いつまでも居座るより、後に続く新しい流れが肝要! との思いを以前から抱いていたので、ご理解頂きたいと思っている。
3月11日付けでカネボウコスミリオン(株)に加瀬敬広社長を迎えた。

2年前、ブログ開設時を振り返ると、当初のタイトルは「海坊主のひとりがたり」だった。が、広報のウェブパトロールの方から「『海坊主』は不漁を招く妖怪の一種で漁師が忌み嫌うので、社長ブログには不適切では……」と指摘を受けた。そもそも私の風貌が海坊主のごときでもあるし、洒落の意味合いで「海坊主」としたのだが、極めて真面目な指摘に内心、「細かいな~」と思った。しかし、社長ブログである、公のブログとしての考え方もある、と思い直してタイトルを考えた。
それでは、と次善に選んだのが「志保のひとりがたり」。
ところが、「志保」が勘違いされて怪しい……。で、落ち着いたのが「田辺志保のひとりがたり」である。社長ブログとなると何かと気を遣うものである。

ブログ開設以降、社員をはじめいろいろな方にお世話になった。文章を書くにあたっては、編集の仕事に携わる知人から「何を書くかを決めたら、書かないことを決めること」とアドバイスされた。私は講演などで横道に逸れまくるだけに、身に染みるご指摘であった。書いているうちに掲載する何倍もの原稿に膨れ上がり、一貫性が無くなり、削除した文章は半端な量でなかった時もあった。

文章中の言葉の使い方にも、多方面からご指摘を受け、読み手の気持ちを考えて表現を変えたことも多々ある。例えば「子供」。子は「親の供」ではないから「子ども」を使用しよう、と。一人の人格を持つ人として扱うことが大切、「子供」だとご不満をもらす方がいるかもしれない。また、化粧品業界の表現にしても、ファンデーションカラーを一昔前「自然な肌色」などと表現したこともあったが、今ではもっての外。グローバル世界、多くの人種を考えると「自然な肌色」など存在しないのである。

こうしたワードの再考、置き換えなどをしつつ、己の気持ちに正直に書き綴った。たいした経験ではないが、私なりの人生体験を通して得たことを、良いも悪いも全て晒し、読んだ方なりに何かを感じて頂ければ、とご紹介してきた。有難いことにお取引先様にも「田辺志保のひとりがたり」の読者が少なからずいて、応援していただいた。息子の柔道話や、家内の自慢や、会社の実情など、オネスト(!?)すぎて、「大丈夫?」と心配の声も届いた。ただ、私なりに公人を意識し、表現方法は真面目に多少硬くなったが、内容は好きなように書いてきたつもりである。
海坊主の指摘以降、このブログを容認してくれた会社の懐の深さと、度量に感謝している。

思えば、2011年4月にカネボウコスミリオンにきて4年間、さかのぼればカネボウ入社以来37年間、まさに激動のカネボウ時代を過ごしてきた。人を育てることを社風とするカネボウで学んだことや、カネボウが決して平坦な歩みでなかったことも、普通のサラリーマンではとうてい味わえない経験もさせて頂いた。しかし、これが結果的に計り知れない自己の成長に繋がったことは、間違いない。

そんな想いが凝縮されて「社長ブログ」のテーマは「出会いは人生の宝」と即決した。
手前味噌だが、読んでいただいた方からは、「良かったよ、面白いね」と言われたり、激励されたり、逆にご指摘を頂戴したりと多くの反応に触れることもできて、満足している。
そして何より、自分自身が楽しませて頂いたことに心底感謝している。

カネボウ引退にあたり最後に思うこと、それはすべての方に共通する避けられない事実。ヒトは一人で「この世に生まれ」、一人で「この世を去る」。人生、紆余曲折ある中、この事実を正面から受け止め、一人立ちできるまでに育ててくれた方々の御恩に報い、残された限りある人生を悔いのないように過ごすことが一番大切なことではないだろうか。その為には「出会いは人生の宝」を忘れず、毎日を精一杯過ごしたい。
今後は全く違う分野に立ち位置を変えるが、自分らしさを忘れず次なるステージに挑戦し、努力を重ねて奮闘するつもりだ。個人的には機を見てブログ「田辺志保のひとりがたり」を新たに再開出来ればと考えている。多少なりともご関心をお持ちの方にはウォッチ頂けると嬉しい。

カネボウコスミリオンは、私の後任の加瀬社長が更なる飛躍と成長を実現するのは間違いない。ご安心頂きたい。



これまでのご支援とご厚情に、深く、深く感謝申し上げ、皆様の益々のご活躍とご健勝を心より祈念申し上げます。本当に有難うございました。


田辺 志保